「オツカレさん。」
「…火神くん…」
大学入試センター試験一日目。その日の全ての試験を終えて会場を出ると、門の外で火神が待っていた。
彼は大学を受験しないのだから、先に出て来て待っていた訳ではない。呆けつつ見上げていると、寒ぃから行くぞと腕を引かれて駅前のマジバーガーに入る。
「で? どうだったんだよ?」
「えぇ、まあ…特に良くもなく悪くもなく、と言ったところでしょうか。」
この程度の会話など、電話で十分に事足りるであろう。しかも、自分で訊いておきながら、火神は「ふーん…」と、まるで興味など無さそうな返事。そうしていつものようにバーガーを頬張っている。
そんな火神を、わざわざここまで出向いた理由を探るように眺めていた黒子だったけれど、ふっと目元を緩めシェイクを啜る。
特別緊張していると言う意識はなかったが、やはり多少は張りつめていたらしい神経が、火神を見ているとほっと綻ぶのを感じる。
恐らく、火神にはそこまでの意識はないのだろうけれど。
明日も来てくれるだろうか。もし来てくれなかったら、試験後には火神の家に押しかけよう。
そうして彼の傍で心を解いて、深呼吸をするのだ。
センター試験なので、受験生にしてみました。
かがみんは、ね…受験するとなると、教える周りが大変そうだしね。(笑)
かがみんがわざわざ会場まで来たのは、受験ってことでさすがに我慢してるんだけど、我慢しきれなくて会いに来たとかそんな感じ。です。
会社でも朝からセンター試験の話題をあれこれ喋ってましたけど、20代組と30代組とで試験内容が違うからね!(苦笑)
しかも、10年以上前の話なもんで、いまひとつ記憶が…。
って、そんなことをT治さん(アタシの3つ下)が言って、「だってもう何年前…?じゅう…5?年くらい?」と言うので、アタシが18年前だと言ったら、Hさんがやけに楽しそうに「20年の大台まで、後少しやね」と。
………やかましいわ、共通一次世代め。
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成人式の式典会場となったホールの周囲には、思い思いに着飾った新成人の群。振り袖姿の女性たちの華やかさは然ることながら、最近では袴などの和装で式典に出席する男性も多く、それらを眺めるのもまた楽しい。
そんなことを考えながらホールの入り口脇に立つ黒子も、今日は和装。落ち着いた風合いのそれに身を包み、恋人の到着を待っている。
と。
ざわ…っ。
そこかしこで話し込む人々の間に広がるざわめき。その中心に目を凝らし、黒子は深く息を吐く。
ざわめきを引き連れ目の前に立ったのは、黒いシャツに白いスーツの、真っ赤な髪の男。昔から身に着けているゴールドのチェーンが相俟って、ホストかチンピラのようである。
何だってまた選りに選って白スーツなのか。訊けば、チームの先輩たちから「成人式と言ったら、白スーツ」と言われたらしい。可愛がられているようで何より。少々、頭が痛い。
「…これがまた、似合うから質が悪いんですよね…」
どうして成人式で、悪いオトコに引っかかってしまった女性の気分にならないといけないのか。
そうは思うものの、白いスーツに身を包んだ火神は贔屓目なしに格好良くて。
彼が本当に悪いオトコであったとしても、やはり惚れてしまうのであろう自分を思い、黒子は口を尖らせた。
「ズルイです。」
「ぐおっ! 何だよ、いきなり!?」
そうしてその口惜しさを拳に乗せて、彼の腹に一発。
2〜3年前、バスの中から見たんですよね。黒シャツに白スーツで成人式に行ったらしい男の子を。会場前で。
チンピラにしか見えませんでしたね。
最初はかがみんにも袴着せようと思ったんだけど、かがみん白スーツ似合いそう…と思って。(笑)
ちなみにこのコたち、黒子っち=大学生、かがみん=プロ選手の設定です。
故に『チームの先輩たち』は、当然、かがみんが入団したチームの先輩。バカガミんをおちょくりつつ可愛がってくれてます。(笑)
拍手ありがとうございましたv
「大きな川に阻まれ、年に一度しか逢うことを許されない二人は、ずっと変わらぬ気持ちを持ち続けていられるのでしょうか。」
「………」
心持ち傘を上げ、真っ暗な空を見上げる黒子の横顔に、黄瀬は僅かに眉根を寄せる。
今日は七夕だが、梅雨の直中。しとしとと雨が降り注いでいる。
黒子はきっと、牽牛と織女に重ねている。自分と、天の川よりも広い、広い海に隔たれた地に立つ恋人のことを。
そうしてこう思うのだ。
彼の気持ちが枯れてしまったとしても、自分は、自分の想いは変わらないのだ、と——。
ぱしゃっ。
——火神っちのクソッタレ…!
大切な友人にそんな淋しい思いをさせる男に内心で毒吐いたその時、水溜まりを踏む音に顔を上げて瞠目する。
立ち止まり、宙を見上げる黒子はまだ気づいていない。その場に留まるよう合図して、姿を隠すように黒子の前に移動する。
「大丈夫スよ。織姫と彦星がずっと想い合ってるのと同じように、火神っちも黒子っちのこと、想ってるっス。」
「………そんなこと、あるんでしょうか。」
「あるっスよ? だって、ホラ…」
「っっ?!」
哀しげに俯いて首を振る黒子ににっこりと笑って身体をずらせば、傘の後ろに人影を認めた大きな瞳が、更に大きく丸く見開かれる。
息を飲んだまま動けない黒子の背を、彼の方へと軽く。
一歩、一歩と進む様子に待てなくなったらしい火神が傘を放り出して駆け寄り、黒子を抱き締める。
しとしとと優しく降り注ぐ雨に包まれ抱き合うふたりに目を眇めた黄瀬はくるりと傘を回して。
「やっぱオレも、センパイんとこ押し掛けよっと。」
忙しいと最近逢ってくれない恋人の家に押し掛けることに決め、小さな水溜まりをぱしゃんと踏み越え歩き出した。
折角七夕ですから。
ところで何か来週の掲載位置がヤバイとか言う噂が飛び交ってますが、みんな一体どこからそんな話拾って来るんだと思ってたら、2チャンなんですか。
まあ、今週のアレは、アタシも醒めそうだと思ったけどね…
拍手ありがとうございましたv
「ねぇねぇ。おとうさんはおかあさんに、なんてぷろぽーずしたのー?」
「ぶふぉっ!!?」
夕食の最中、無邪気に問うた娘の言葉に、大我くんが盛大に咽せた。
いっぱいに詰め込まれた口の中の物がよく飛び出さなかったものだと少々感心しながら、父の狼狽ぶりにきょとんとしている娘に向き直る。
「どうしたんですか、急に?」
「あのね、きょうね、ともきくんにぷろぽーずされたのー!」
「あぁ、そうなんですか。」
問いにニコニコと返す娘・志緒はとても嬉しそうだ。
それもそうだろう。保育園で一緒の日向センパイの家の友紀くんが、志緒は大好きだから。
娘愛しの父親は未だ咽せていて何も言えない。それを尻目に、ボクは「良かったですね」と志緒の頭を撫でてやる。
「おとうさんはおかあさんに、なんてぷろぽーずしたの?」
えへへ、と笑っていた志緒だったが、ふと最初の質問に思考が返ったらしい。小さな頭を撫でる手はそのままに記憶を辿る。
ところが。
「………言われてません、ね…」
「っ、ちょっと待て! 言ったぞ、オレは!」
これ、と言った台詞が思い出せない。アメリカ育ちで愛情表現のストレートな夫からは何度も愛の言葉を囁かれたけれど、そう言えばプロポーズの言葉なんてあっただろうか。
あれ? と首を傾げていると、漸く復活したらしい大我くんが立ち上がって反論する。
「憶えがありません。」
「言っただろうが!」
「記憶にありません。」
「言ったっつの!」
言った言ってないで、埒が明かない。
だけど、自分は記憶力は悪い方ではない。それで憶えていないのだから、やはり言われていないと考えるのが普通だろう。
「じゃあ、もう一度聞かせてください。」
「う……」
ならば、と言えば、大我くんはぐ、と言葉に詰まる。ほら、やっぱり。
「〜〜〜っっ!! 今度は忘れんじゃねぇぞ!」
小さく息を吐いたら、もう二度と言わねぇからなと吠えた大我くんは耳元に顔を寄せて。
「オレの光が衰える日が来ても、その先もずっと傍(ここ)にいてくれよ。」
「ねぇねぇ、なんていったのー?」
「な…内緒です。」
低く甘く囁く声にすっかりやられてしまったボクは、無邪気な娘にそう返すので精一杯だった。
プロポーズの言葉考えんのに、半日費やした、っ;だって、プロポーズの言葉って、そんなにバリエーション多くないよねっ;あんまり捻りすぎると「ぁんじゃそりゃ」になるしね;プロポーズ言葉集とか調べちゃったよっ;
その途中で気づきましたが、6/7が、て訳じゃなくて、6月の第1日曜がプロポーズの日なんですね。
て言うか、当たり前のように娘がいてすみません。(笑)
でも、家族ものもやってみたいんだ…!
ちなみに、黒子っちがプロポーズを憶えていないのは、ベッドの中で微睡んでる最中(事後)だったからです。(爆)
…高総体、男子が8強止まりだったと思ったら、女子が優勝しとる…。
つか、男子って決勝リーグ残ってるどころか、去年なんか優勝してたよな?
あれでも、そう言えば新人戦の結果とか連絡来た憶えがない…。
拍手ありがとうございましたv
――どこ行ったんだ、あいつ…
気づけば姿が消えていたから、てっきり先に来ていると思っていたのに、店内に黒子の姿はなく、首を傾げつつ窓際の席に座る。
今日は土曜日、練習は午前中のみで、どこかに遊びに行くことはできなくても、午後はゆっくりイチャベタできると思っていたのに。火神は眉間に盛大に皺を寄せてバーガーを口へ放る。
そのバーガーも、黒子が目の前にいないと言うだけで、やけに味気ない。休日の店内の騒々しさも今日は気に喰わなくて、適当に咀嚼し飲み込んでしまうと、ガタンと椅子を鳴らし立ち上がる。
と。
「何だ、あの行列?」
マジバーガーの斜め向かい、アイスクリーム店に何やら長い行列ができている。
新商品か限定品でも出たのだろうか。しかし、火神にはあまり興味はなくて、行列を横目に家へと向かう。
「あ。火神くん。」
そこへ飛んでくる、聞きなれた声。振り向けば、黒子がアイスを手に件の店から姿を現す。
「何やってんだ、オマエ。」
「見て解りませんか? アイス買ってたんです。」
とてとてと近づいて来て見せるそれは、やはりバニラアイスだろう。それは解るけどよ、と口の中で返して、火神は行列をくいっと顎で指す。
「そうじゃなくて、オマエ、これに並んでたのか?」
「はい。」
「何の行列だよ。」
「今日はアイスクリームの日なので、募金をしたら好きなアイスを1つもらえるんです。」
「へぇ…オレにも一口。」
「嫌です。火神くんの一口は大きいので、なくなっちゃいます。」
食べたいなら、並んだらどうですかと言われ、列の長さにうんざりと顔を歪める。この列に並んでまで食べたいとは思わない。それに、折角会ったのに、並んでいる間に帰られては困る。
「いや、いい…」
「そうですか? じゃあ、これ食べさせてあげます。」
「あ?」
「火神くんと食べようと思って買って来たんで。」
あーんって食べさせてあげますよ、と、悪戯っぽく笑う黒子は逆の手に提げていた袋を目の前に持ち上げてみせて。
「ボクの家と火神くんの家、どちらにしますか?」
それに少々顔を引き攣らせつつ、火神は「早くしないと溶けちゃいますよ」と促す黒子を追いかけた。
「テメエはとろっとろに溶けた方が美味いけどな。」
「………そういうこと言う人には食べさせてあげませんよ。」
どっちを?
+++++
途中放置になっててすみません;会社のPCで書いてたんだけど、書き始めるのが遅かったもんで、時間切れになっちゃって。
ネタは言わずと知れた、31。一昨年、バイト先近くの店にえらい行列ができてて、何事かとビビった思い出。
